公明新聞:2012年5月16日付
電力各社は「国民の痛み」忘れるな
夏の電力需給見通し
今年の夏は、まさしく全国で「節電の夏」となろう。
政府が示した今夏の電力需給の見通しでは、2010年並みの猛暑で原発の再稼働がなかった場合、8月の電力使用ピーク時の供給余力の不足は、北海道電力で1.9%、関西電力で14.9%、九州電力で2.2%に上る。
これに対し、政府は14日の「電力需給に関する検討会合」で節電要請の原案を示した。各地域の意見を聞いた上で、今週中にも対策を最終決定する予定だ。
原案では、電力不足に陥る北海道、関西、九州の電力3社の管内にそれぞれ7%、15〜20%、10〜12%、供給力に余裕のない四国電力へは5〜7%の節電目標を要請する。
さらに、大きく電力が不足する関西電力管内への電力融通のために中部、北陸、中国の電力3社にも、5%の節電要請を行う。東北、東京の電力2社の管内には節電目標は設定しないが、西日本への電力融通のために自主的な節電を求める。
各地域で電力需給の余力に差があるものの、全国レベルの節電で生み出せる電力融通の有用性は大きい。
特に、大きく電力が不足する関西電力管内では、揚水発電に必要な水のくみ上げ電力すら不足しかねない見通しという。しかし、隣接各社からの昼間の電力融通があれば、その分、夜間の水のくみ上げ時間を延長することができ、関西電力の供給能力の向上にもつながる。隣接管内の節電が「二重の改善効果」をもたらすわけだ。
懸念されるのは、今回の原案が急ごしらえの感を拭えず、関係自治体と各社への根回しが遅れていることである。既に冷房需要が本格化する7月まで2カ月を切っており、急な節電要請は企業活動を混乱させる可能性がある。
万が一、政府の調整力不足で対策が整わなければ、計画停電や使用制限令など強制的な節電策を取らざるを得ず、その場合、経済界への打撃はさらに大きくなってしまう。早急に決定すべきだ。
電力各社は今夏の電力不足を招いた責任を深く自覚し、徹底して電力不足解消策に人事を尽くすべきである。
特に、自らの電力供給能力の拡大には一層の努力が必要だ。この他にも、ピーク時の使用電力を抑制する「需給調整契約」の拡大や、企業などが節電した電力量を売買できる仕組みの「ネガワット取引」の導入など、挑戦できることは数多くあるはずだ。
電力各社は「国民の痛み」を忘れてはならない。
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